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もちろん私自身は、だれかを破滅させるために手をあげたことは一度もないが、そうしたところでその効果ははなはだ疑わしいものだ、ということをよく知っていたからだ。なぜなら私は手をあげる権利を、ほどよい時に奪われていたから。長い間私は、自分だったら同じような状況の下では手をあげないだろう、ということを自分に思い込まそうとしていたが、私は公明正大だから、結局は自分自身をあざ笑う他はなかった。
— 『冗談』みすず書房p88